生きてえのだ

花と虫と海、それとさんぽが好き。



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緑の石橋

 わたしは水の流れる音がどうにも好きらしい。波音、川の流れる音。その時ばかりは耳栓を外して聴き入ってしまう。身体が自然と受け入れてくれる。

 気持ちが乱れそうな時、よく近所の沢に行って気分転換をする。そこには小さな石橋がかかっていて、いつも橋の中ほどから手すりに顎を乗せ、川面を覗き込む。落下防止のネットには苔がびっしりと生えていて、緑の深いカーテンに包まれているようだ。季節がら桜の花びらが絶え間なく流れていき、淀みではピンクの歯車がゆっくりと回りだす。桜の枝がどっしりと目の前まで伸びていて、間近で花を観察していた頃が懐かしい。何でも触ってみる癖があり、ちょんちょんと何度もつついていた。わたしなりの花見である。

 ただしこの橋、道幅がとても狭い。車がかろうじて通れるのだけれど、その度に橋のたもとまで戻らなくてはならない。意外に往来があるので何度も行ったり来たりを繰り返す。また、いつまでも橋の手すりにかじりついているからなのか、怪訝な顔をされることも少なくない。

 でも良いのです。わたしはこの沢を愛している。だからふり返る暇がない。行ったり来たりは手間のうちには入らない。それでも追われるのであれば、その時は乙女椿を見に、これまたとっておきの場所に行けばよい。愛着はあれど執着はしない。これは難しいことではあるが、常にこころに留め置きたいと思っていることである。

 

 


Zimpraise Feat Oliver Mtukudzi (Hear Me Lord)

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