ミサキのミ

花と虫と海、それとさんぽが好き。



父とさくらの話

 

 ある方の母親がすぐ近くの公園の桜が満開だったとおっしゃっていました。お酒が飲めなくなってから花見に用はないし、実際さくらにも興味が湧きません。それでも見れば綺麗なのかなとも思いますが、人はいったいこの花のどこに魅力を感じているのかということの方に興味が湧きます。自分は人と同じものが見えているだろうか、同じように見ているのだろうかと。

  それでもひとつ、さくらの思い出がありました。その昔、父がわざわざ車で近隣の桜を見せてくれたくれたのです。花には興味がないけれど、気遣いが嬉しくて「見たい」と言ったのを覚えています。

  桜の下で酒を飲んだり、歩道橋の上で立ち止まってカメラを構えている。こちらから顔はよく見えないけれど、何やら楽しそうな様子だけは伝わってくる。車中からぼんやり眺めながら、これが自分と他人との距離感そのままなんだなあと感じていました。

  

 父ちゃん、ありがとう。できることならお酌をしてあげたかった。

 

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