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生きてえのだ

花と虫と海、それとさんぽが好き。



目次  

告白

思い出の曲 過去のこと
スニにジンズを合わせて
黒い紙ぶくろを抱えて私は探した
彼はベのジトを着てくる
顔は本の帯で確認していた
 
数多ある空席の中わざわざ
真ん中のテブルを選ぶ意図が分からない
こういう者ですと一枚のプリントを渡される
経歴と取材内容が書かれていた
 
ボイスレコが回り始めると
彼はとたんに饒舌にな
唐突に家庭と幼少に踏み込まれて私は
紙ぶくろに手を伸ばした
 
ぽつりぽつりやがてざらざらと
いつかの夕立のようにしべる
とめどない振りも落ちもない
それを生活という
 
メモを取る彼のペンも
次第に緩やかになていく
目を細めてじと見つめるその顔は
優しそうでこめかみが痺れた
 
数か月後
私というものが世に並んだ
 
反響あるよと連絡をくれた彼
なぜ実名を公表しないのか
と無責任なことを言う人
送られてきた本は思たより薄い
 
作中の私はき
あたしよりずと長生きをする
それは可哀そうな気がして
そろそろ読み終えなければ、と思った。

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Ordinary Landscape -Let the story tell

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