生きてえのだ

花と虫と海、それとさんぽが好き。



目次  

早々

ひとつ正直に告白しよう
 
そり死ぬ前にかんぺきな遺書を書き始めた
まずは一杯の酒をおくれと書いてすぐに消す
やがて胴乱が軽くなると病床を這い出し
戸外の空気を深く吸
 
着替えなさい
という言葉に味噌かすがぶるぶる震える
 
嬉しいとか哀しいとか寂しいとか
人並みに思い至ているような錯覚だとしても
味噌汁が濃いとか薄いとか
世間の道理はたいがい理解したつもりである
 
くたくたの鳩からも時々お誘いがあ
はじめは眺めているだけだたがある日
雑木林でねんごろにな
フリクは手応えが無くて不安なの
と吐かしていたにも拘わらず
今ではすかり達者にな
そして震戦が止んでいることに気づく
 
ペン先がぴんと定ま
 
屑は屑らしくあれこれ燃え散
日暮らしの風に巻かれひと息で忘れ去られたい
しかし本能が壊れた無自覚というやつは実に
おかまいなしに転がていく
 
だからこそ死ぬ前にかんぺきな遺書を書き始めた
それがいまだ話題に尽きない

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