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生きてえのだ

花と虫と海、それとさんぽが好き。



目次  

使われる命

だったら やらねばと 食いぶちに成らなくても ともかく やってみよ 糞ほどの役立たずでも 背負うもの 背負った なら黙々 歩みを進めよ 世のため ひとのため とは気安く言わないものよ だれも かれも 共食いを経て生まれてきたの てめえの命から食わねば 隣人…

風鈴流し

つっかけ もの干し 植木鉢 灰一色の露台には泥 黒目の際を泳いでゆく そうっと 畳に潜りこむ 死にゆく先は 無 ではなく同化のとちゅう おはよう かたつむりの稜線 に跨る子どもたち お天道様はきょう お隠れの様子 鎮まった高圧線の向こう みずの短冊が舌を…

誕生日には泣かない

必ずメールをくれた 嬉しくないという時期は過ぎた 重圧とも感じなくなった 言うならば「申し訳ない」に尽きる 返事 と思うが文面に困る あれよあれよと夜になる 電話が鳴る 出られない もういちど鳴る 通話口が震える 「安否確認をした方が良いと思って」 …

やもめ通り

上手そうな鰻のにおいがする たまには重箱で食いたいものだ よだれが穿つ プロペラを回す 一斉に飛び立った椋鳥が 一滴の白糞を眼鏡に残していった 裸眼で見上げた薄陽は煌めく まぶたの裏で線虫があそぶ 真っ赤に吸えばいい ちくしょう こいつらみんな紫陽…

ワイドショウ

そのむかし男に投げ込まれた あの湿った桟橋から 梅雨の合間の射光がひりひり 水面はざらざら ブイは橙 あの観覧車は変わらない 何しに来たって 飯食いに来ただけ 面を見に来ただけ この肌荒れじゃ憶えちゃいないか 小銭がはぐれる 指先も痺れちまった もう…

お月さんに捧ぐ

お月さんには口がない それが運の尽きだった 握りしめていたボトルは あいにくの腰砕け 最後の一滴を振りかざす 濁った目玉がまつげを捻る お月さんが怒り出すと 瓦石の投てきが始まり お月さんが泣き出すと 青苔のしずくが鳴り響く おいと手を伸ばしても ご…

中央沿線

飲んでる意味ないよ 主治医が変わると途端にこれだ その物言いがとても嫌い 今までの歳月が無駄みたい 思いやりの嘘 思いやりのないほんと 売り言葉に買い言葉 口輪を外せば口論となる 心に無いことは言えないが こころは空っぽだと手を挙げてもいいか むか…

験を担ぐ

幸運に巡りあった、その喜びを忘れないために

ほどほどに

ほどほどに眠れて ほどほどに飯を食って ほどほどの満員電車で ほどほどの休憩をもらえて きちんとありがとうと言えて たまにはランチに誘われたり 深々とあたまを下げては 人並みにお給料をもらえる 控えめにファッションを楽しみ 親しくおしゃべりもできて…

おおかみよ

大きく深呼吸した三回目 ばんざいをしたまま息を止め 爪先からゆっくり、絹を流し 視界を這いずって 捕えて 機嫌を占う これが理想の朝 わか草の食べ残しが 足の裏にへばりつくと 汗がふつふつ染み入ると 愛着が消えていく 這いつくばっていた 男はすくと立…

さかのうえの卒業式

生きる ということを あてがわれて つめこまれて 立たされている 歌わされている そう見えるのかな こえをはり上げた先に 母をさがそうと たいこを叩くたびに 父に手をふろうと 全身、 全霊なのよ

うさぎのような目をしていた

二年ぶりにマシュー(棒)に会う 二百十円を返してもらえた 顔と名前をちゃんと覚えている 日本語がいまいちなのに 再会できて嬉しいですと言う ハグには思わずのけぞった 上司で後輩のまっちゃん(忙)に会う 最初は目を反らされて知らんぷりだ 人間性は確…

喜劇として

話し相手がなくなり 話す必要がなくなり 三月でちょうど一年 ここはPC なぜ癇癪を起こすか 雨戸の向こう側 番号交換の仕方 いっこうに分からぬまま リハビリで歩きだし 痛くて往生して やがてちからを取り戻し、距離が伸び 大好きな音楽に埋もれて見上げた…

散走の夏日

ペダルをくるりと回す 少しワイヤーが伸びたか シートクランプは指二本のところ クランクは任せろと言ってくれた 今度はぐいと踏む 痛む、だが悪くない 行こう相棒、もう一度 あたしのルーペとなっておくれ 風がぼうぼうと憂う だがそれがどうした そんなも…

阿房の出立

右か 左か 表か 裏か 思想 街道をまねび ごっこ遊びで闊歩して 上か 下か 有か 無か 区別 霧散にむせび 出自と自由が交錯した 規範的 同調か 論理的 平等か 嫉視的 圧力か 煽情的 強要か それは それ これは これ ですから公共の福祉に反しないよう 自粛 と …

スクリーミングパンダ

まくらの臭いに目ん玉剥いて ぶつ切り 掲示板に書き殴る 連中はとにかく欠損遺体が好き 不測の事態に備えた吐き気はすっかり 開発されてしまった、ちなみに 課金をせびるゲームはひどく攻め込まれていた スクリーミングパンダ、 これが朝だ。 KoRn - twist v…

トマトの祝日

てぶくろはどこまでも温かく どうやって棄ててよいものか ひと息前まであなただったんですもの タオルでビニールで 絞めあげてみず攻めとか じゃあじゃあ じゃあじゃあ よってたかって てってい的にぶっころすのね なぐり書きのそらには朱だけ おなかの日陰…

同期エラー

じゃあふつうの就活はしないんだ 事情通のおばちゃんがそれっぽく労う ここは吹きだまりだ、あたしの青春と友情の だれが先輩とか後輩とか正直面倒くさい 何度か留年したうえ社会人学生 向こうも年寄りは面倒くさいはず 彼らを見ていると最近の若者は、とか…

大胸筋

ちびTのうえから やたらと揉んでかっぽする そして色黒

はなとかなんとか

はながまあるい花子 はなおがきれた花子 はながないから花子 はなしがへたな花子 xとか yとか 西とか東 親兄弟の誕生日とか 投げ込まれる 諸々の積載過多

さんぽこの道

歩く 歩くとは右あしを差し出すこと ひざが外れないようにすること ことばを追いかけること 会いに行こうと思えること 生活 生活とは一生けんめい働くこと おむつ取れたよと喜ぶこと おむつ履いてよと怒鳴ること 自分だけは大丈夫と思うこと おとな おとなと…

泳ぐ

やみくもに掻いてはいけないよ キャッチとプルを意識しよう キックはとっても良い感じ 持久力が足りないねえ がんばれ セイセイ 食いつけ セイ 周りについていけないか 息継ぎ止めると早いけど 五十メートル行けるでしょ そうそうとってもいい感じ がんばれ …

早々

ひとつ正直に告白しよう こっそり死ぬ前にかんぺきな遺書を書き始めた まずは一杯の酒をおくれ、と書いてすぐに消す やがて胴乱が軽くなると病床を這い出し 戸外の空気を深く吸った 着替えなさい という言葉に味噌っかすがぶるぶる震える 嬉しいとか哀しいと…

葉桜

おい坊主、逆上がりはできるようになったか いつもの土手から河畔に急げ 真魚の輪廻に立ち会うのだ 砕きに砕いた一秒が 両手のひらでびゅうびゅうと鳴く 芳醇に泥づく川肌が つむじかぜの甲羅にまたがる きのうのきょうは今日の昨日 置いてきぼりはままあっ…

生きてさえいれば

先週から始まった 補助無しで歩く練習が堪える 介護車両にはねられた なんて悪い冗談だろう だから全てのことに理由がある とは思えない 人が途切れた試食コーナーで 「ぶんたん」とやらを初めて食べた ほんのりとした苦味が美味である それなりの経験をして…

無印

恋人ができたらアベックと呼ばれたい

オレンジ

二丁目神社に赤提灯 よくわからねえローカルポイント 地域振興と名乗る信仰 蟻はこっそり踏みましょう おかげで床屋も行けなくなった タオルが被さる瞬間、見ちゃった あたしの坊主もわりと素敵よ おできにさえ気をつければいいの ロードバイクの固いサドル…

国道横断二十号

先取りメイクに映える この薄くちびるめ 気持ちは分かる 分かるが顔には出さないものだ 言うなればこの肉体も未曾有の財であり つまりは美しき検体なのだと言え だがそんな威勢は歩行訓練で削られ 痛み止めを減らしたのが、せめてもの餞別 「面会ですか?」 …

カレイドスコープ

カラスがさ、毎朝ゴミを漁るのね プラスチックトレイや空き瓶 くすりの種類や本名が書いてある袋 あたしの日本が大爆発だよ アパートの奴らはとっくに気づいてる 両隣は入れ替わり立ち替わり 今ではとうとう埋まらずの部屋 こっちは顔も知らないのに チャイ…

にぎり飯

ごめんなさい、 おおきな声を出して 命をこぼすまいと必死なのね orionhanako.hateblo.jp

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