生きてえのだ

花と虫と海、それとさんぽが好き。



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思い出の曲

初声

霧雨をかき分け 相合い傘の青玉が揺れた 裾のみどりは肥沃の地をしたため 振り向きざまに稜線をも霞める 籐の椅子と 造花の向日葵があしらわれた円卓 日替わりの食事はいまだ 口にすることができない 蓮の葉に寄りそう飴色の蛙 汗にけぶる市井の夕暮れ かわ…

ナイトバード

山野にけぶる朝もやの 雨のさざめに耳をそばだて 廊下をかけずる 喧噪を聞いてなお そっと 目をつむる エヴァ 聴いておくれ スカイツリーの雑踏に こころの芯子も死んだふり 浅草線 押上駅で並べた肩先 人あたりを起こせば スロープを這いずる 青くらげの腕…

視座を求めて~お酒をやめて六年

みなさまご無沙汰しています、青那です。私事なのですが、このたびアルコールをやめて六年を迎えることができました。五年を迎えた時も少し書いたので、今年も書いてみようと思います。 わたしにとってアルコールとは、例えるなら松葉づえのようなものでした…

嗚咽

けむりに揺れるの 肉の親愛だという 解きほぐせない 解けそうにない誤解が 得体の知れぬ 遺言という生涯 夢まくらに立つ呪いが ドライアイスの水滴 ふき取ったの 夜通し おやすみ。 と交わした記憶を探すの ろうそくが照らす浄土 迷えばいい そんなの あっち…

私信

疲れが一気に出たようで、きょうは病院にも行けなかった。 夕べは八時半にふとんに入ったのだから、まる十六時間寝ていたことになる。冷蔵庫には醤油と納豆が一パック。きょうは買い物の日だ。夕刻、着替えて出かける。諸々はマスクでごまかす。いつものよう…

弁天橋を渡れ

橋の中ほどまで歩いた みながみな 昼めしをかっ食らう砂浜 ──経過観察 そこには食性や習慣 受容と共感のしくみがあるはずだった 足音には用心深く耳を澄ます こちらに気づく者もあるのだ 大きな声に怒鳴る声 爆竹と花火が突如として 激しい頭痛を引き起こす …

鎌倉

小町通り 幾度も 学生たちに追い越された早朝 歩くのは相変わらず遅いが 高ぶりはどうにも収まらない 着付けや煎餅 そば屋に中華 ときおり開くシャッター越しには 暮らしのにおいが立ちこめていた 八幡さまには松葉色の袴 竹ぼうきが玉砂利を鳴らす 読み終え…

海はひとりに限る

海はひとりに限る 始発にゆられ 乗り換えにふるえて 波しぶきを被るのはひとりで十分 なまぐさい風にぶたれるのもひとり じろり と見られるのも 笑われるのもひとり 勝手のわるさを忘れて 砂にころぶのもひとりで十分 海はひとりに限る 若者を避ける日 波乗…

異音

母の支えるストライダー セダンがクラクションを鳴らした ちらほらと先走った梅の腹 父は黄色のボールをほうった 雨戸の向こうは、少々騒がしい こうして恐々、耳をふさげば おやゆびほどの存在力が こぶしほどには膨らんでゆくのだ わたしは既製品 純正だっ…

エナジー

萌芽 うっ血したつぼみが そこかしこ今にも こぼれてしまうの ブルーチーズをほおばり ティースプーンを舐めとり 鼻腔またたくフレーズに 節をつけては照れてしまうの 屋根でふたをし 壁で目隠し ひとすくいの宇宙は 檻のない、動物園なの 一心に爪を研ぎ 噛…

表参道

もの知らずのわたしは 図らずも柄杓の作法を教わる 参道では迷子のみどり亀が あゝとあくびをしていた 靴音がこつこつと澄み渡り 波しぶきに髪もこわばり 交わした言葉は ただただ、しょっぱい いったい何度 わたし達は出会ってきた 約束はしない約束 ゆえに…

輪郭

自分の写真は無いでしょ と撮られた姿を 何度も なんども見かえす Origa - Счастливое Лето

朝焼けを待つ 体躯を折る 少年は律儀な三角定規 しける波音のすき間で 二歩三歩と少女が駆け寄る 風など跨いでお行きなさい うみねこなら雲をつつく こぼれ落ちるたまごの半熟 諦めなよ 他人になるのは 海岸線に霞みゆく足あと そっと 橋のたもとで見送る わ…

五千百と一回目の朝に

きしむ便所にほつほつと したたり落ちる上階の足音 寝巻きのひだを掻き分け 髪を掴まれ側臥位、放置 箪笥の引き出しとは 絞りだす生気 一滴 におい立つ万年床をうがつ ビラ投函に目を覚ます シンクに溜まる 宛名を無くした会話を千切る 滲んだ思慕にこぼれた…

みなさまにお礼を。

みなさまこんばんは、青那です。年の瀬はどうにも駆け足になりますね。近頃のわたしは山登りをしたりとインドア派を返上しつつあります。 去年の今ごろはまだブログを始めていませんでした。足のリハビリを頑張っていました。雨戸を開けることができませんで…

しあわせ

買えるなら買っとけ 胸を張って買っとけ わたしの顔など忘れて ふとんの中に捨ておけ いつだって季節は 米研ぎに沁み入り ひたす左手には かじかんだあかぎれ あなたはどれ? わたしならこれ 河原で挫くついで 暮らしよ、勢い転がれ 買えるなら買っとけ 買え…

針せんぼん

風雪 散りばむ石畳 覗きこんだ水たまりに 欄干がぴゅうと揺らいだ 町が光彩を解き放つ モルタル 電柱のすき間には 暮らしがちりぢりと犇めく 降りしきる人情に振りこむ人和 廃車に雀卓 赤みさす老人 もろ手を掲げ グラフィティを背中に ならべ重ねて 焼津で…

縒り糸

鈴鳴りの空は 錨のすき間にも這いずり いっそう青らしくなった 有象無象 こぞって見上げて みんな、みんな、刺し網のなか 獲物は暮らしに帰るべく 水しぶきをあげた 男も唸りをあげる 飛び散る うろこに息子は酔った 女は岬で歌を納め 港へと向かう 甲板に立…

耽溺

草木よ 花よ わたしはあなたの友だち 風に揺られたくらいで そんなそっぽを向かないで おしべとめしべ ことばを虫たちに運ばせ おしゃべりに耽りましょう 冷たい雨もそっと 小指の腹で やわらかに拭いましょう ゆめを見たのよ 蜘蛛の糸をつたい わかい椛につ…

一輪

耳たぶをたれ お天道様をゆび指し ただ一心に 花弁の わたりを広げた 想いは風に 気ままな虫に託して ただ無心に 夕日の うなじに見とれた 土のけむり 枝切りの響きに交じり ひとりきりなら よくしゃべる 心耳を研ぐのは ひとの寝息が嵩むころ 土手の継ぎ目 …

朝が来た

コラア コラアと鴉さん すみません こんな朝から ゴウシュ ゴウシュと ろ過水槽も起き抜け 唸ります 目覚めが悪いのでしょうか 呼吸のすきまを狙って 無遠慮に 頬をつねっていきます 慰める とは どういう理屈の動作か くちを開けたり 閉めたり 日々テストを…

生き写し

ひび入る虚空に散った 木漏れ日の刺しこむ まばゆさに おたがい 目をつむっていた ファインダーに映った あんたの白髪 目を合わすなら いま このとき にじむ画に はきと知る 僅か もうあと 僅か 露光の足りぬ 日曜の夕刻 池に餌をまく 親子がいそぎ 帰り支度…

俎橋

水面を舐める とんぼの番い 負けじと跳ねる あめんぼのつま先 まばたき知らずの 五葉松の下 ふつふつと鳴く 錦の鯉よ おまえの目には 嘘が無い わたしは慧眼と呼ばれた 血も涙も干しあげ ちちを切り裂く 背中に広く 根深く 痣が染みつく 無言なればこそ ひと…

受信

団地を組み立てる人影が見えた 組んず解れつのパイプが群れ 踏んで荒らした痕を見上げて 痩せ細った月が ひじをつく えぐる桟橋のうえで がどがど のっつ ばゆばゆ けん 異国のことばが跳びまわる 絶えず切り詰め 追い詰める 向こう見ずは高台にのぼった 両…

虫の一分

下校中のランドセルが にじいろのボールを蹴飛ばす こおろぎの腹をさする 男子の興味はどこにある 消し忘れた自転車のライト ふしくれだったアスファルトに タングル もしくは相合傘が重なる よく見えた 見えてしまった 空洞 打擲 ひんやりと肌に触れる 濡れ…

果托

コトの実は白く 細長い腕をたらし 枝分かれし 先端にひとの数ほどの マコトの実を揺らし 口をかたく結び 眼を閉じ ただ座する 一輪のもとに 吹きこぼれる群生を湛え 燃ゆるむき出しの野性に 皆一様に顔を背ける Emel Mathlouthi - Houdou On (Calm)

着信

笑われた むかし話の切れ端さえ笑ってくれた 笑われるのは交じわった証だと思う 交わらない視線のさきに同じ年月を祝う 野郎は見下すものには激しく突っかかる 守られる理由も分からず守られる日々に 好きになったものはずっと好きだからいまも解約せずにポ…

安心

たいていは無口で ちんもくを苦とせず ひとを食い物にしない だからちゃぷちゃぷ うちあける はにかむ さんぽっていうのは 神社と 橋と 街路樹と 草木と 花と 看板と 水辺の 鯉と 亀と鴨 階段をのぼり いつもの行き止まり 工事現場の陽だまり 公園沿いのとち…

おまえさん

どんどん がらがら えいえい やあと どうして こうも やかましいのか それとも こちらの やましさなのか おまえさん あんたのやさしさが どうにもこうにも かみきれねえや Devin Townsend - Ants

断捨離。おつかれさまと言ってやれ

置き場所に困ったら、とりあえず押入れに放り込む。それが癖になっていた。どうりで布団をたためないわけだ。そこには学生時代の思い出がぎっしり詰まっている。実をいうと私はちょっとした資格を持っている。それゆえ専門書やテキストも多く、捨て時を逃し…

アタッチ

ぽんたら ぽんたら めがねをうがつ 雨のつめ 濡れ落ち葉にマンホール 足回りが気になる 安全第一 フェンスのオレンジがこぞって 威嚇する 橋げたをじっと 見つめる わたしは欄干と似ている 有刺鉄線に とんぼが並び 淀んだみどりには森が映えた 合い言葉は …

無間

からだが動かなくても あたまはフル回転 あたまが回らなくても ふとんでスパンキング 万年床でも むせずにいる デスノートは 読み切れずにいる ネットの中傷に 眠れずにいた それなのに ケータイのあかりを たよりにする ドアが打ち震える 名前が飛び交う 震…

食道

おうぎの棚田はもはや もぬけの殻だった 黄ばんだ木箱に はびこる執拗な チューブが脈打つ テラスの手すりには 小鳥が一羽 時計の針はいまだ おひるねの最中 小休そぞろに 飯で おびきだす 喧噪これみよがしに 品性 立つ瀬を誇示する 追いやられる くもる窓…

みのづくり

えっちら おっちら みのむしのブランコ いちぢくを食べて 小枝を立てて かたく 盛られたしじまに うねるからだに 砲弾ライトが光る この人たらしめ チャペルのうら庭で 皮膚感は べんじょ育ちの ひと垂らしの雨 きょう初めて 耳栓をさせて と言えたよ 静まる…

瓶底めがね

玄関先に落ちた 保険証券 顔も合わせず 契約は更改 身内なのに誠意が無い 二年前と吐く台詞は同じ 二十七はとうに越えた クラブ入りとは儚い夢だ くたばるどころか むしろ安寧 まだ 道半ば 歯がない 電話がない あれこれ無い モノねだりに疲れた すでに道半…

コンプレス

ひまわりのまる焼きが うなだれていた うたをしたためる こがねむしの光沢 複雑なクラスタ 数珠に つなげた構造は 原初より配列を リズミカルに引き継ぐ ポリリズムはふたたび 重なる理にあり たとえ無策に見えても 夕方 相見えるでしょう そんなお迎え予報…

レイドバック

夕焼け小焼けの ヴァガボンド 遠い あこがれ ポーランド いななきは いつも 風のよう 鼾のように ねえあ ねえあ あねね あねね と ちり紙ロールをふり回す 暗い日の入り 帰り道 お澄ましをする ポートレイトも 茶色の花束も むぞうさな閉塞に沈まぬよう 欹て…

ぬくもり

日陰のすき間に 流される 青信号が点滅していく 風下に溶けだす 左手がしきりに 瞼をむずがる 水嵩が腰を上げ 水面はさめ肌に たれ込める枝舌は艶やかに シェリルの歌声はいつでも たおやかなハグであり それは 降り止まないものだった 当たり前のように わ…

顫音

産まれて 初めて 呼ばれた おそらく これが ほんとうの名前 父も 母も 知らなかった だれも かれも 悪くはないのだ 変わらない 変えられない ほんとうに申し訳ない 過去は振りきれない 悔恨は今さら 拭えない ならば丸飲みにして 味わえ そんなことは 君 馬…

雨傘

すれ違いざま 生きた と この目を見て 生きた と 死にたいではなく 死んでしまえでもなく たった一言 生きた と ただそこに 生きた と 弾かれてゆく 長雨の da capo Origa - 川よ、私の川よ

立身

脂っこい鮭の切り身に 海苔と納豆 好きではないのに 毎日毎日 食っている 読書は四冊つまみ食い 二行読んではすぐ戻る 聞こえる単語が横すべり 三人寄れば黙り込む 潜らない思考 埋まらない齟齬 先の見えない治療に 不毛とも言えない 腕をふれ 足をさせ 目頭…

トゥーツ・シールマンスよ、忘れるか

Toots Thielemans - Bluesette ハーモニカ奏者のトゥーツ・シールマンス氏が二十二日、亡くなった。私は彼の作曲した『Bluesette (ブルーゼット)』という曲がとても好きだ。この曲はスタンダードとして彼自身による演奏だけでなく歌詞も添えられ、Sarah Vaug…

どぼんの花、遠浅の記憶

どぼんの花 なまりの花弁したたり ちりぢり落つる 墨の河 千鳥足 嵩む格子に 胸をふさぐ 遠浅の記憶 廃屋と踏み切りの先 斎場を抜ける道に たたずむ 黒猫のえさ場に迷う 折れた歯は川に放った 一斉に羽虫が嗤う 化粧は より空虚になった 舌でねぶると 芯子が…

へのへのもへじ

ちかちか瞬く あたまの輪っか 近ごろようやく 風を招いた ぬめりをなぞる しかくい湿地 沼が 大きな 口 を開ける 日が暮れると 木の実を砕く 打ち損じては ゆびさき挫く ひょっとして 聞こえますか 沈む あぶくの囁きが 水面に映える つむぎは大島 肉は 小さ…

ひとでなし

浮き輪と回る少女に 流れ着いた欲望 鉄柵のこちら側 作業では差し歯も渇いた 今日なら吞んでも 同情されるか あいつが死んで 真っ先に浮かんだ これが病 といえば 許されるのか 本心 ならば誰が 愛してくれようか 雲のひだがせわしく ひるがえる こら、涙 お…

ツギハギ

まち針を 打って打っては 縫い続け 縫って縫っては 打ち返す くる日も くる日も 夜なべして いよいよ肩も凝ってゆく こころってやつは等しく 体液にまみれ 触れたことはないが これみよがしの拍動 縫い目の向こう 今だって、 こちらを窺う だからやはり 縫わ…

ことばの音楽

リズムとメロディ 会話のハーモニー なんてこった、 いっとう苦手なやつだ! Grant Green - Jan Jan (Fabulous Counts cover) (1972)

不可逆の讃歌

もうさ どれにしようかな ができないわけ この先 歩道がなくなります この先 通り抜けできません そんな理由で引き返せないわけ でもさ あたしがやらなきゃ 誰もやらないわけ 申し訳ないけど おすそ分けもできないわけ 呼吸なわけ まばたきなわけ やらなきゃ…

レッドハウス

目が覚めると 汗ばんだ毛布は冷たかった なみだの代わりに洟がたれる 蛇口がくち汚く罵る あたまを突っ込んでかき回す タオルを探るより先、怒声を投げつける あの頃のあたしは 体育館で授業よりピアノ 放課後は誰かと押し問答 歌が好きな子だった あたしが…

かもめ

あいつは海沿いに暮らしていた いつも風のように送り迎え みなとに抜ける三叉路のあたりで 夜がとりとめもなく波打つ いつしかこの部屋で 恥ずかしい日はドアの向こうで いってらっしゃいをしてから 二度目のおはようは会社にて 妹さんのお店に通い お母さん…

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