生きてえのだ

花と虫と海、それとさんぽが好き。



目次  

ナイトバード

山野にけぶる朝もやの
雨のさざめに耳をそばだて
廊下をかけずる
喧噪を聞いてなお そ
 
目をつむる
エヴ 聴いておくれ
 
     
 スカイツリの雑踏に
 こころの芯子も死んだふり
 浅草線
 押上駅で並べた肩先
 
 人あたりを起こせば
 
 スロプを這いずる
 青くらげの腕が絡まる
 アクリルガラスに押しつけた
 おでこ 三歩
 後ずさりして見わたす
 
 旋回する海底に沈んだ
 
 無数の横顔
 あぶくのぽこぽこ
 二の腕
 歯ならび
 あなごの土産を選んだ仕草
 いつかの浅草 隅田川
 さようならの別れ際 いつも
 振り返らない背中、
     
 
喧々囂々
目を見ひらく
 
白い丸テブルをひとり囲う
ちで陰口
ちでけんか
 
イヤホンを押し込む
ハンカチをたたむ
顔を覆たハンカチを
うも一心 たたみ込む
 
はきはきとした手だ
我ながら褒めて遣わす
 
いつまでも繰り返す
金曜午後 最後の
ひとりが帰てゆくというのに

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Eva Cassidy - Fields of Gold

視座を求めて~お酒をやめて六年

 みなさまご無沙汰しています、青那です。私事なのですが、このたびアルコールをやめて六年を迎えることができました。五年を迎えた時も少し書いたので、今年も書いてみようと思います。

 

 わたしにとってアルコールとは、例えるなら松葉づえのようなものでした。わたしは自閉症スペクトラムです。その影響で子どもの頃から他者との交流を図ることが難しく、そもそも対人関係の構築にあまり関心が向きません。お乳も飲もうとしない偏食家であり、何かの弾みでパニックを起こす、とにかく育てにくい子だと言われていました。感情は表情よりも指の動きや行動に表れ、何を考えているか分からない子だと言われていました。

 自分も周囲も、いったい何に翻弄されているのか分からない時代でした。良くも悪くも変わった人間として目立ってしまいます。大きくなったわたしが学校や社会との軋轢を埋めるため、アルコールを利用し始めたのは必然だったのかもしれません。路上や車上で暮らし、住み込みで働き、仕事を転々としました。ようやく長く勤めることができる仕事に巡り合いましたが、その頃にはすっかり依存症であり、うつ病となり、脳も委縮していました。

 死にそうになって入院をしたところでプログラムに参加することができず、四か月間トイレとベッドの部屋で過ごしました。当時は「自助グループに参加しない者は回復できず」といった空気が強く(十年以上前の私感です)、無理に参加してみたものの誰にも共感できませんでした。自分に欠けているものをひとり、素面で、手に入れようともがき続けました。躁うつ病と言われ始めました。そして再飲酒をします。

 

 以来、アルコールを徹底的に遠ざける生活を突き詰めました。するとほとんどアパートから出られなくなってしまいました。これらの原因が生まれつきの脳の問題だと分かった頃には、三十歳を大きく超えていました。

 

 でもね、ここからが始まりなんです。

 

 本質的な意味において、自分には出来ることと出来ないことがある、と知ることができたからです。アルコールはわたしにとって松葉づえのようなものでした。でも結局、お酒を飲んでも飲まなくても対人関係をうまく結べたことはなかったんです。他人と同じペースで歩けない脚ならば、急がなくても困らない環境を手に入れる。そのことにこそ惜しみない努力を注ぐべきだと教えてもらいました。

 そして自分を知る手掛かりとしてこのブログを始めます。リアルタイムでの意思伝達が難しいわたしの中には、ことばになる以前の何物かが渦巻いていました。それらをことばにする試みです。コメントのやり取りはしないつもりでした。それが時々コメントをいただくようになり、そのお返事を一生懸命考えて(時間かかってごめんなさい!)、ということに取り組み勉強になりました。そしてやっと、この程度には自分の思いを綴ることができるようになりました(初期に書いた信号機についての話などいま読むと笑って泣いてしまいます)。

 

 最近のわたしは、こうした自分の中で起きている変化を実生活に還元しようとしています。七月から大きなチャレンジが始まるのでその準備などをしています。なので更新は滞っていますが、去年の秋頃のようなネガティブな理由ではなく、いたって前向きな理由です。

 去年、断酒五年を迎えた記事を書いてからの一年。この一年は、どのような形でもいま読んでくださっている皆さんと接点を持てた一年ということになります。だから、ほんとうにありがとうを言いたいのです。そしてこれからも。ありがとう。

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orionhanako.hateblo.jp


愛と感謝 Superfly PV

歩き旅、三浦半島一周を完遂しました

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 みなさまご無沙汰しています、青那です。このほど、以前からお伝えしていた歩き旅を無事終えることができました。ルートは鎌倉~葉山~荒崎~油壷~三崎~城ケ島~江奈~雨崎~三浦海岸~久里浜浦賀観音崎~横須賀。つまり三浦半島を一周、およそ百二十キロの海岸線を歩き倒して参りました。

 

 当たり前と言われるかもしれませんが地面は、海岸は繋がっていました。雲がどこからやって来て、どこに向かっていくのかを見ました。何時間もひとと会うことのない岩礁をつたい、海にとことん向かい合いました。通り雨に遭ったり熱を出したり、崖にへばりついて進んだこともありました。

 だからそのぶん、存分に波音を聴くことができます。思わず鼻歌を歌うじぶんに驚きます。広がるキャベツ畑に湧き上がる記憶があります。つまり、生まれつきの質に振り回されているわたしが、通所よりよっぽどリラックスできる環境があることを知り、その環境がどのようなものであるかを体感できたのです。

 

 わたしは江の島が大好きです。なので道中、逗子でふり返り、葉山でふり返りして「きょうも遠くなったな」と確認せずにはいられません。しかし時には天気が悪かったり、入り組んだ地形によって見えない日が出てきます。やがて気づけばどこからも見えなくなり、かわりに目に飛び込んでくるようになったのは房総半島でした。そしてある日、ふとフェリーで渡ってみようかと思いつくのです。

 

  「せいかつ」って、こういうことなのかなって思います。 

 何かを「あきらめろ」とか「あきらめるな」とか、誰にも言われたくありません。変えられないものは受け入れるだけ。頼りにできるのはじぶんの踏み出す一歩だけ。今回の歩き旅を通して、そんなじぶんへの信頼感がすこしだけ高まった気がします。三浦半島、また行ってきます。

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